最新の活動内容
国際貢献講演会・活動事例発表会(1)
2009年10月16日
岡山国際交流センターにおいて、元国際協力事業団(JICA)総裁であり、現在、(財)国際開発高等教育機構(FASID)理事長を務める川上隆朗氏によ る「これからの日本の国際貢献と求められる人材」と題した講演と国際貢献活動に取り組む県内の団体による3つの事例発表が行われました。
(1)ラオス国 ルアンナムター県における家畜銀行の取り組み
岡山ロータリークラブ / アジア農村ネットワーク岡山
ラオスは、インドシナ半島の中心部に位置し、周りを中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーの5ヶ国に囲まれた内陸にある、農林業を主要産業とする人口約600万人の国です。
発展著しいASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の中で、唯一、海に面していない内陸の国であること、山がちな国土で、交通アクセスが整備されていないこと、少数民族が多く居住し文化的障壁が多いことなどから、開発が遅れており、最後発国の1つであると言われ、国の発展は海外からの支援に頼っているのが現状です。
特に、アジア農村協力ネットワーク岡山(以下、アジア農村)のプロジェクトサイトのある北部諸地域は、少数民族による焼畑農業が主たる産業で、他の現金収入の手段も少なく、同国でも貧しい地域であります。
岡山ロータリークラブ(岡山RC)は、支援を必要としている同じアジアの国のラオスの人々に対して、単なる物品や施設等の提供ではなく、貧しい農村の人々が経済的に自立できるように支援することに意義を見出し、貧困撲滅を目的として、2008年4月に、岡山ロータリークラブ・ラオス家畜銀行(以下、家畜銀行)を設立しました。このプロジェクトは、貧困撲滅を掲げるラオスの国策にも合致するものと考えます。
アジア農村は、2001年12月から、ラオス国ルアンナムター県の農林局をカウンターパートとして、農業技術協力支援を実施しており、2008年からは、JICA草の根技術支援「果樹栽培による村おこし事業」を展開しています。家畜銀行プロジェクトの実施については、岡山RCと連携して、ラオス家畜銀行の運営管理にあたっています。
家畜銀行は、本部をルアンナムター県農林局に置き、農林局長に家畜銀行の代表を務めて頂き、支部を各プロジェクト村の女性同盟に置いています。ラオスでは、中小型の家畜については、伝統的に女性が世話をしています。従って、今回の家畜銀行も、この伝統に則り、女性同盟に村での管理をお願いしました。
豚を家畜として選定した家畜銀行は、現在、アジア農村のプロジェクトサイトである、ルアンナムター県ナムター郡及びナレー郡にある計4村(うち一村については準備中)で事業展開中です。既に活動を始めている3村では、仔豚の出産が始まっています。 家畜銀行の仕組みは、「①貸し手の銀行が、母豚1頭を農家に貸し出す。②母豚を借りた農家は、母豚から生まれた8~12頭の仔豚を育て、その中から、元本分と利息分として、2頭の雌豚を銀行に返済する。③返済された雌豚は、種付けの後、また他の農家に貸し出され、仔豚を出産後、②と同じように雌豚を銀行に返済する。③農家に残った豚は、自分の所有となり、それらの豚を販売したり、食糧としたり、繁殖させるなど、生活の自立のため、自由に活用する。」というものです。
家畜銀行は、以上のプロセスを繰り返すことにより、村全体の農家の人々の経済的な自立を支援しようとするものです。
各村には畜産ワーカーがいますが、あまり活躍していないように見受けられます。そこで、このプロジェクトでは、ワクチン接種や仔豚の去勢などが問題なく実施できるようなシステム作りにも取り組んでいます。昨今の、豚や鶏などの新型インフルエンザが発生しているような状況では、このシステム作りは大切であると思われます。
また、土地が痩せているラオスでは土壌改良の必要がありますが、肥料は高価で、村民には購入が困難です。そこで、堆肥を必要としますが、家畜が少なく、堆肥の原料となる家畜糞の入手が難しい状況です。しかし、この家畜銀行プロジェクトにより、家畜が増えれば、堆肥原料の入手は容易になると考えられます。
この家畜銀行プロジェクトは、プロジェクト村での繁殖状況を見ながら、まず3年程度の継続のあとに、本部のある農林局と評価検討し、有効性が確認できれば、他の村にも展開できればと考えています。
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(2)『いのち』をまもる環境学教育-Kominkanを活用したユネスコチェアプログラムによる地域での国際協力人材育成
岡山大学大学院環境学研究科
岡山大学は本年創立60周年を迎えるが、大学院環境学研究科は2005年に設立された新しい研究科で、「『いのち』をまもる環境学教育」を教育理念に掲げ、国連大学、UNESCO(国連教育文化科学機構)、UNFPA(国連人口基金)等の国連機関や岡山のNGO等、地域ぐるみで国際的な環境の専門家を育成する取り組みを行っている。これらの取り組みはユネスコからもアジアで最初の環境部門のユネスコ・チェアプログラムとして2007年に認証された。大学院環境学研究科ではESD(国連持続可能な開発のための教育)を地域の公民館や海外のCLC(Community Learning Center:Kominkan)と協力して実施し、海外に通用する環境専門家の育成を目指している。
<国連ESD(持続可能な開発のための教育)の10年と岡山>
持続可能な開発(Sustainable Development:SD)の概念である“将来の世代のニーズを損なわない開発”は、1987年の国連ブルントランド委員会で提唱された。1992年のリオデジャネイロ地球サミットの後の10年に開催された2002年のヨハネスブルクサミットでSDに関する教育の必要性が重視され、ESDが提唱された。我が国の小泉首相(当時)が国連総会でESDを世界的に普及することを提唱し、2005-2014年の10年がESDの10年となり、国連機関の中でユネスコが主導することとなった。それを受けて、国連大学は2005年5月に高等教育機関が地域でESDを推進するためのモデル地域 (RCE: Regional Center of Expertise) を世界で7ヶ所決めた。岡山市域はそのひとつに選ばれた。
<公民館の歴史と国際的な広まり>
公民館は、第二次大戦後、軍国教育の反省に立ち民主教育を進めるという理念で始まり、社会教育法のもと制度化された(1949年)。建物は自治体(市町村)が管理するが、運営は住民と協力して行われている。1980年代後半より、我が国では生涯教育(life-long learning)という概念が提唱され、生涯教育の中に位置づけられている。我が国でも、ESDの実践場所として公民館の役割が改めて注目されている。 UNESCOが、我が国の公民館をモデルにしたCLCの導入をアジア太平洋地区で提唱。識字教育以外に、各国の地域事情に合わせた地域での教育(夜間学級、職業教育、ICT:Information and Communication Technology、保健衛生等)が実施されている。公民館とCLCのネットワーク化が進んでいる。(岡山公民館サミット2007・資料「岡山宣言」参照)
<岡山大学大学院環境学研究科の取り組み>
2005年の設立後、大学および地域での取り組みが評価され、2007年にはユネスコ高等教育局(パリ本部)からユネスコチェア・プログラム(UNESCOの冠講座:Research and Education for Sustainable Development)の認証を受けた(ユネスコチェアホルダー:阿部宏史研究科長)。ユネスコチェア・プログラムの認証を受けることによって、各種のESDに関する取り組みをより活性化させており、以下の取り組みを行っている。
- 大学の教育内容の改定
大学教育のカリキュラムをSD(持続可能な開発)の観点から見直している。国際環境人材育成の取り組み、海外フィールド実習(中国、ベトナム、バングラデシュ、スリランカ、等)、国連大学との遠隔講義(Asia Pacific Initiative for Climate Change)(FASID,慶応大学、ハワイ大学、AIT等)を行っている。文部科学省等からも「魅力ある大学院イニシアティブ事業」、「大学院教育改革支援プログラム」、「特別教育研究経費」、「国際協力イニシアティブ事業」等の助成を受けている。
本年11月14日-15日には全国の大学におけるESDを普及するための協議会である「HESDフォーラム」を主催する。
- 地域における実践
COINN(岡山県国際団体協議会)、ACCU(ユネスコ・アジア文化センター)、ユネスコ・アジア太平洋事務所、国連大学高等研究所等と協力してESDに関する「公民館サミット」を2006年以来、毎年開催している。本年は2009年12月17-20日開催予定である。
岡山市ESD推進協議会、京山地区ESD推進協議会に学内の教員が就任し専門的知識、経験を提供している。一方、学生が公民館を中心に行われている地域でのESD活動(まちづくり事業、食育、環境教育、ミュージカル等)に参加している。現在、ユネスコによって認証されているユネスコ・スクール(小・中学校、高等学校)を支援する大学の取り組みを宮城教育大学(岡山と同時に最初のRCEに認証された、ESDに関する仙台地区の中核大学)等と協力して行っている。
<ESDを通じた国際協力>
国際協力イニシアティブ事業を通じて、地域におけるESDをKominkan/CLCを通じて実施するというモデルを、今後の国際協力に生かす取り組みを(ザンビア国等)、本研究科で行っている。ザンビアではPHC(プライマリーヘルスケア)の視点に、地域でのCLCにおけるESDの観点が加わり、環境に配慮することや、住民の主体性がより高まり、地域での保健医療活動の質の向上が期待されている。
今後、大学、NGO、行政機関、地域住民が連携して我が国の独自性が発揮される国際協力につながれば何よりである。これらの教育研究での取り組みが、国際人材育成につながることを目指して行きたい。
持続可能な開発のための教育(ESD)を推進することは国連ESDの10年(UNDESD)に示されているように地球的な解決すべき課題であ る。「Kominkan サミットin 岡山―地域づくりとESDの推進」は、岡山大学と岡山国際団体協議会(COINN)により主催され、ユネスコ・アジア太平洋事務所、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)等の共催団体と共に10月27日から11月3日にかけて実施され、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、日本、モンゴル、ネパール、フィリピン、タイおよびベトナムの政府、NGO、教育・研究機関の専門家が参加した。
参加者の間で経験の共有を行い、公民館を中心にして行われているESD活動の視察を通じて、我々は日本の公民館とそのほかのアジア・太平洋諸国におけるCLC(コミュニティーラーニングセンター)はその社会、経済、歴史、地理上の違いを反映し、その活動は異なっているように見えるが、その機能や役割は同様であることに同意した。
公民館/CLCは地域に根ざした機関として、地域の人々が自分たちのものとして活発に参加し、現在・将来の多様な地域づくりのニーズに応じて、すべての人々が参加できる適切な生涯学習の機会を提供する役割を果たす機能がある。公民館/CLCは地域づくりのためのグループ活動を促進することにより、地域における情報や学習の拠点として機能し、持続可能な将来に向けて人々の行動変容を起こすことが期待される。一方、公民館/CLCは地域の住民同士、公民館および関係者の結びつきを強く役割もある。
持続可能な開発に関する関係者は増大する公民館/CLCの役割を支援し促進するために、ESDを生きた哲学とすることができる。政府機関は政策を作成し必要な資源を投入することができ、一方NGOや市民社会は地域における触媒としての役割を果たすことができる。学術機関や教育機関は研究を通して公民館/CLCを支援することができる一方、その活動に参加することにより学習の機会を得ることができる。民間部門(企業)も社会貢献活動として専門的技術、人材、資源を提供することができる。すべての公民館/CLC関係者が、所有者としての意識を高め能力の向上を行うことは不可欠である。
あらゆるレベルにおいて関係者の間での連携や結びつきを高めることが求められる。公民館/CLC連盟や姉妹公民館/CLC運動を国際的、全国、県、地区レベルで構築する必要がある。このような結びつきにより、連携や共通テーマの共有が進み持続可能な開発や世界平和をもたらすことにつながると考えられる。
我々は、今後の自分たちの立場でESDを推進するという、この誓いを確認する。また、我々は今回この岡山で学び共有した経験と展望を、まずアジアの中で、そして長期的には世界の他の地域において拡げることに努力することを誓う。
参加者一同はこの宣言文が国内外の関係諸機関の間で啓発、政策提言、そしてさらなる議論につながることに役立つことを願う。
Kominkanサミットin Okayama 参加者一同
(仮訳:実行委員会事務局)
<その他参考情報>
岡山大学大学院環境学研究科http://ambiente.okayama-u.ac.jp/
岡山大学ユネスコチェアプログラムhttp://www.esd-okayama-u.jp/
(3)カンボジア タケオ州での教育支援活動
高梁ロータリークラブ
<カンボジア王国タケオ州圓山小学校の位置>
首都プノンペンから南へ約70km、車で約2時間の場所に位置します。
<圓山興一氏>
圓山興一氏は、第2次世界大戦の時、陸軍航空隊兵士として、中国・インドシナ半島を転戦しました。戦争によりカンボジアの人たちに多大な迷惑をかけたにもかかわらず、カンボジアの人たちの助けで、日本に帰ることができました。圓山氏は、いつかカンボジアの人たちにかけた迷惑のつぐないと、助けてもらったお礼をしたいと思っていました。
カンボジアでは1970年代~1980年代は内戦の時代でした。ポルポトによる300万人とも言われる虐殺があり、カンボジアの文化的基盤、先生や学校、伝統文化もことごとく殺され破壊されました。1990年から国連軍がカンボジアに平和維持のため入り、内戦がほぼ終結した1995年9月、圓山氏はカンボジアを訪問しました。プノンペンで三浦キリブット氏と出会い、親交を深めた結果、三浦氏は圓山氏を父のように尊敬するようになりました。圓山氏は三浦氏と話し合って、カンボジア再建のために、小学校の建設を決意しました。
<圓山小学校>
カンボジアの中でも貧しい村であったコッカンチャップ村で1996年10月、小学校建設が始まりました。もともとあった小学校の校舎は、雨がもるような状態で新たな校舎が必要でした。1997年4月、建設費用7万ドルをかけて校舎二棟が落成し、落成式には圓山興一氏が出席しました。完成した小学校は圓山小学校と命名され、1997年10月には圓山氏の寄付で校庭・校門・フェンスの整備と多数の木が植えられました。これには、子供達も積極的に参加しました。
<高梁サマメトレー小学校>
サマメトレー小学校には生徒280名、先生9名がいましたが、もともとの校舎はポルポト時代の養豚場を改装したもので、暗くジメジメした感じのするものでした。そこで教室等をあらたに建設することになり、総工費3万ドルをかけて1棟5教室、カンボジア瓦葺き鉄筋平屋建ての校舎の建設が始まりました。もう1棟がカンボジア政府によって建設され、校門とトイレは国際ソロプチミスト高梁の寄付により建設されました。2004年11月23日竣工式が行われ、全体で2棟9教室に校門、校庭、トイレを備えた立派な小学校になり、高梁サマメトレー小学校と名付けられました。
<里親制度>
圓山小学校は完成しましたが、地域には勉強を続けられず、読み書きの出来ない子ども達が何人もいました。長い内戦と病気のため両親や片親を失い、また家庭が貧しいため学校に行けなかったのです。
こうした子ども達が学業を中断することなく、義務教育を受けることができればという願いから、三浦氏の提案で、子供たちにロータリーの会員が親代わりになって、奨学金を支給する里親制度が始まりました。
カンボジアでは、大人の月収入が約30ドルです。そこで支給金額を1ヶ月10ドルとしました。1年間で120ドルになりますが、これは支援する側にも負担の少ない額で、双方に納得できるものです。
現在では、ロータリー関係者だけではなく、各種団体の方々、一般の方々のご支援をいただきながらこの里親制度を運営しています。 同時に学校の先生に対しても支援を行っています。国からの給与では生活が苦しいため、バイトをして家計を補っている先生がいます。これでは子どもへの指導が疎かになる可能性が大きいので、圓山小学校12名の先生と高梁サマメトレー小学校10名の先生に対して25ドルの支援をしています。
こうした取り組みの中、現在、圓山小学校では241名、高梁サマメトレー小学校では244名の生徒が学んでいます。
<音楽授業>
2003年7月に吉備国際大学ローターアクトクラブの学生3名が、ボランティアで圓山小学校へピアニカの指導に行きました。残念ですが、学校では音楽の本格的な授業は行われておらず、日常行われている音楽の授業では、少しわかる先生が、音符のない歌詞だけのテキストを見て口頭で指導する程度のようです。
情操的教育の一つである音楽は、現地の子供たちの福祉向上の一つとなりうります。本格的な技術研修を実施し、カンボジアにおける音楽授業の手本と成り得ればと考えています。
<問題点>
「里親制度」の維持の問題と校舎のメンテナンスの問題があります。里親制度に関して、現在、約170人の方々の協力を頂いておりますが、長期継続をいただける方が減少傾向になっているのが現状です。どのように維持していくか、制度の抜本的な見直しが必要で現在検討中であります。
メンテナンスにつきましても、里親同様に支援を始めて10年の月日が経ちました。校舎なども少しずつ傷みが出てきました。少々のことは、住民の皆さんが協力して修繕はしていますが、大きな工事が必要なことは、支援依頼してきます。里親制度では、里子支援と共に子どもたちに教育環境の場所を提供することも支援です。日本では、行政などがこのようなことを当然のように行っていますが、まだまだカンボジア政府のこうした面に対する取り組みは整っていません。
我々が、いつまで支援を続けていけるか分からりませんが、出来る限り「今何が必要なのか」を考えながら進めていきたいと思っています。
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連携協働団体:(財)岡山県国際交流協会、(特活)AMDA、ケアフレンズ岡山
(特活)ハート・オブ・ゴールド、(財)笠岡国際交流協会、山陽放送
メインテーマは「いま、私たちにできること」。
2009年度のキャンペーンの主な内容は以下のとおり
紛争地域、内戦後も荒廃・疲弊する地域を取材するテレビドキュメンタリーの制作、地元救済団体による救援活動の報告、高校生たちの取り組みの報告などを放送した。
PFCキャンペーンはこれまでに、日本民間放送連盟賞やJNNネットワーク協議会賞、岡山芸術文化賞、岡山広告協会賞など、数々の権威ある賞を受賞するなどして、国際貢献・国際交流、人づくり、地域文化の向上などの面で大きな評価をいただいているところですが、
昨年はキャンペーンのいかんとして製作したテレビドキュメンタリー「戦地からの報告~ガザの子どもたちは今~」(09年2月放送)が、ユニセフ(国連児童基金)やABU(アジア・太平洋放送連合=アゼルバイジャン以東、ニューランド以北のアジア・太平洋地域の47カ国が参加)などが主催する「子どもの権利賞2009」番組のコンクールで優秀作品に選ばれ、キャンペーンの崇高な理念と取り組みが大きく評価されました。
「戦地からの報告~ガザの子どもたちは今~」が泥沼化するイスラエルとパレスチナの紛争下で家族を失い、飢えや病気と闘いながらも懸命に生きる子どもたちの姿を通して、「平和」と「命の尊さ」を問いかけた作品。審査員から「子どもの権利の問題を国際的に取り組む大きな課題として知らしめた。高い製作スキル、質はもちろんのこと、子どもたちへの強いメッセージ性が他のエントリー作品と比べて特に際立っていた」と大きな評価をいただいています。
音楽面でも効果は顕著です。入場希望者は毎年非常に多く、今回は競争率が約5倍とたいへんな人気ぶりだったことはすでに記したとおりですが、賛同してくれる出演者、世界の音楽祭を股にかけて飛び回るチェロの岩崎洸氏をはじめ、国際舞台で活躍するピアノの岩崎淑氏、有森博氏、松本和将氏ら岡山出身の演奏家の最高峰が参集するコンサートは他にはありません。彼らが卓越した技を披露するほか、岡山在住の演奏家とジョイントし相当大きなインパクトを与えると同時に、テクニックを伝えてゆくこともこのコンサートの目的のひとつで、リハーサルの合間は臨時のレッスン場となるのです。岡山音楽界の重鎮が「毎年毎年これだけの人たちがよく集まってくれるなあ!」と驚く陣容です。8~9ヶ月前にしか決まらない日程ですが、彼らは、年間のスケジュールの中に「この時期はこれ」と「RSKチャリティーコンサート」を組み込んで空けてくれています。演奏曲目・スタイルについても同様で、「モーツァルト一家の再現」をやると決まれば、“なりきって”演じるし、マイナス要素も少なくない同じ平面でのバレエの共演もOK。全面協力なのです。